医薬品を使う前に副作用被害救済制度を知っておこう

誰でも関係がある副作用被害救済制度

医薬品を使うときに気を付けたいのが副作用です。病院で治療を受けたときや薬局などで医薬品を購入するとき、処方箋や、パッケージの裏側あるいは説明書を見てみると、副作用についての項目が記されています。ほとんどの場合は副作用が出ることはありませんが、正しく使っていたとしても、体質の違いによってどうしても発生してしまうことがあります。しかも、医薬品の持つ特殊性のため、期待に反する作用を予見しておく可能性には限度があります。そのため、健康被害が生じても、現在の民法ではその賠償責任を例えば製薬会社や製造元に追及することは難しく、たとえ追求できたとしても膨大な労力や時間、お金を費やさなくてはなりません。しかしそれではあまりに被害者が救われないため、昭和55年に被害者の迅速な救済を図ることを目的として創設されたのが副作用被害救済制度です。副作用被害救済制度は医薬品医療機器総合機構法に基づいた公的な制度であり、医薬品を適正に使用したにもかかわらず副作用が生じてしまい、入院治療が必要になるほど重たい健康被害となってしまった場合に、医療費や年金などを給付することによって被害者を助けるものです。

副作用被害救済制度の手続きの流れ

副作用被害救済制度を使うことになった場合には、手続きを行なわなければなりません。このときに厚生労働大臣と被害者との間に立って手続きの仲介を担うのが独立行政法人医薬品医療機器総合機構PMDAです。まず、健康被害を受けた本人または遺族などが、医薬品医療機器総合機構に対して請求書や診断書など請求に必要な書類を送って医療費などの給付の請求を行ないます。このとき、給付の種類に応じて請求の期限や必要な書類は異なっているので注意が必要です。医薬品医療機器総合機構はこの書類をもとに、その健康被害が医薬品などの副作用によるものなのかどうかや、医薬品などが正しく使われていたかどうかといった判定を厚生労働大臣に申し出ます。厚生労働大臣はその申し出に応じて、薬事、食品衛生審議会に意見を聞いて判定をします。その後、医薬品医療機器総合機構が厚生労働大臣による医学、薬学的判定に基づいて、支給できるかどうかを決定することになります。医薬品医療機器総合機構が決定通知を被害者に渡し、被害への補償額が給付されることになります。ちなみに、請求する人は、この決定に不服がある場合には厚生労働大臣に対して審査の申し立てができます。

被害救済制度による救済給付

救済の給付の種類は7つあります。まず、医療費です。これはそのまま、副作用によって生じた病気の治療に必要だった分の費用を実費で補償するものです。このときに補償される金額は健康保険などを使って割り引かれた分は別になっており、あくまで実際に払った金額のみとされています。続いて、医療手当です。これは病気の治療に伴う医療費以外にかかった費用の負担に対して給付されますが、金額は決まっています。3つ目は障害年金で、これは病気によって一定程度の障害状態に陥ってしまった18歳以上の人を対象にしたものです。障害を負ってしまった場合、就職などにも影響が出ることがあります。そうした人に対し、治療ではなく生活の補償を目的として給付されます。なお、18歳未満の人に対しては障害児養育年金が給付されます。さらに、もし生計維持者が副作用のせいで最終的に亡くなってしまった場合には、遺族の生活を支えるために遺族年金が支払われます。ただし、これは定額かつ10年という限度があります。他に、遺族一時金と葬祭料も給付されます。
医薬品によって万が一副作用が発生してしまった場合でも、こうした給付制度の存在を知っておくと安心です。

  • 最終更新:2016-05-11 17:21:10

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